擬人化脾臓のこと
擬人化脾臓のこと
メインキャラ3人の最後の解説です。
今日は脾臓について解説していこうと思います。
(肝臓はまだ解説し足りないんですがまた余力が出来たら解説します)
ウチの臓器擬人化では、膵臓と同様、脾臓の概念を二つに分けております。
『胎性群青・前編』の主人公・「白脾」という少年(本作メインの脾臓。「脾臓君」と呼んでます)と、
同じく『後編』に登場する「赤脾」という少女(通称:「赤脾ちゃん」)。
二人は同一人物で、条件を満たすと白脾が赤脾に変身するという設定があります。
ざっくりした説明となりますが、
白脾→免疫担当
赤脾→古い血球などを壊す役割を担っています。
(ぶっちゃけ、脾臓のことに関して肝膵ほど詳しくないので、色々間違っていたらすみません。肝膵の設定は敢えて大袈裟にしたりわざとニュアンスを変えたりしてる部分が多いです…ファンタジーなので)
脾臓の設定の着想は、
「この臓器、胎児の頃は造血に参加してたのに、生まれてからはずっと血球を壊す機能を担ってる…壮絶だな…」
という自分の主観的感想から来てます。
だって、すごくないですか?凄まじいですよね?!
自分達のエゴで作った子供(血球)を自らの手で殺めるんですよ?!信じられます?!ヤバイでしょ!!
私はこの機能に尋常じゃないロマンを感じました…っ!!
一方で脾臓は免疫を司る臓器でもあるなので、
「血球を殺す、せめてもの罪滅ぼしとして、脾臓君には赤血球の護衛をしていることにしよう!」
と考えました。
個人的にこの辺めっちゃロマンです!古典的なファンタジー設定が好物(笑)
身体って上手くできてるよねぇ…まさに生命の神秘…。
本題に戻ります。(唐突…)
前編を発行したときに解説集を作り損ねて、去年の11月から言おう言おうと思っていたネタがありまして、この場を借りて言おうと思います。
『前編』第二章で、心臓様が脾臓君に「肺を護ってやってほしいのだ」と免疫の機能を託すシーンがあるんですが、この着想は《脾摘後重症感染症》です。
脾摘後重症感染症というのはざっくりいうと「脾臓がなくなったことにより、莢膜(バリア)を持つ菌に感染しやすくなった状態の患者が莢膜保有菌に感染する」という病気で、重篤な敗血症状態になったりします。(上手く説明できん…汗)
調べたら一番多い起因菌は肺炎球菌と文献に書いてあったので、
「なるほど、脾臓君は肺を護っていることにしよう」
ということに決めました。
(他の起因菌…インフルエンザ菌、髄膜炎菌なども莢膜を保有してま~す。)
心臓様的には「この世界(体内)を維持していく鍵となる肺を護ってほしい」わけなんですが、脾臓君も思春期(この物語に出てくる少年たち―肝膵脾―はみんな思春期です。青春群像劇ですし)なので、理屈は分かっているんだけど、納得いかないんですよね…。
結局赤血球達を犠牲にして生きていくことには変わりないし、でも肝臓みたいに器用ではないからこういう仕事しかできない…彼の場面は歯がゆさを強調しています。
どうしたら、彼のこのもどかしさ・歯がゆさを取り除いてあげられるか。
ネーム段階では仮の話を作り、納得のいく答えが出るまで原稿を描きながら一年間考え続けました。
後編の原稿が自分なりの答えだと思います。
※以下、同人誌を読んでない方にはちょっとネタバレになります…。
肝臓が補体(溶菌作用があります)というタンパクを作っているんですが、これを話に盛り込めないかなと思い、後編の展開になりました。
・補体の古典経路(反応の名前)は連鎖反応だから時間がかかる→とりあえず時限爆弾にしておこう…
・これに脾臓君の持つ抗体を加えたら反応が促進される→これでいこう!
脾臓君は、肝臓に対する劣等感が強い子としてキャラ付けなので、肝臓をピンチから救いだして、尚且つ肝臓が脾臓君に対して「ありがとう」と言うことによって、脾臓君のわだかまりが少し薄れたかな…。
同時に肝臓も脾臓君に対してずっと後ろめたさを感じていたので、脾臓君が新しいことにチャレンジする姿を見て、救われればいいなと思ったりしました。
赤脾ちゃんのことも話しておこうと思います。
メタな言い方になりますが、彼女はシリアス要員です。
主に、肝臓と膵臓の結びつきが強くするために、彼女を登場させました。
(彼女の言動に腹を立てた膵臓が、肝臓に対して情熱と信頼を表します。彼女が現れなければ、肝臓は膵臓君に心を開かなかったんじゃないかと思います。)
脾臓と膵臓は隣同士にくっついている臓器で、東洋医学では脾臓が、西洋医学では膵臓が五臓とされているそうなので、この二つの臓器は対照的なキャラにしようと思いました。
共通点は、変身ができること。
他は、対照的な感じに。
膵臓は基本楽天的な情熱家(理想主義)ですが、脾臓は現状を維持したい保守的な考え方(現実主義)。
赤脾ちゃんの登場の件で謝りたいことがあります。
ちょっと唐突に登場させ過ぎたなと反省してます…。第2.5章とか作って、ワンクッションおくべきでした。
でも、後編の巻頭ページは肝臓の生化学工場をドカンと描きたかったので、やむを得ない、というか…。
赤脾ちゃんは劇中で一番ストイックな子にしました。
古い血球を壊す役割を担うくらいだから、きっと甘えや妥協や馴れ合いは嫌いだろうなと思ったからです。
自分のリアリズムを押し通す子なので、当然理想主義の肝膵とは考え方で対立します。
臓器はそれぞれ形も機能も違うので、主張や方針がそれぞれ違って当たり前だと思ってます。だから友達である肝臓と脾臓はケンカもしますし、仲間同士の膵臓と肝臓も言い争いをします。
みなが一つのことのために一致団結するんじゃなくて、
一人一人が自分の目的のために奔走し、利害の一致で協力し合っている腐れ縁みたいな関係…
そう!運命共同体です!!人体という狭い箱庭に住まう運命共同体なのです!!
(こーいう世界観です。)
こーいうのを描きたかったんです!!臓器達が生きながら生きる意味を見つけていく感じの物語を!!
こうやって作者が裏設定を解説しないといけないなんてちょっと駄作感あるな~とは思いますが、ファンタジーは劇中で解説入れるとシラケてしまうので仕方ないかなと思います。
長くなってしまった…。
長文読んでくださった方、ありがとうございました!
だいぶネタバレ多いですけど、自分は同人誌とは自らの萌えを伝える際の参考資料だと思っているので、語る際にネタバレもやむなし…。
次回からはサブキャラ(赤芽球、心臓、胆嚢)の解説しますので、もっと短めにいきます!!
ちょこっと試し読みも…